コミケに初めて出展して、感想・反省・感謝の言葉

スプラトゥーン同人雑誌『HITEYE 9月号』を持って出展した本当の結果

何でコミケに出展したの?

ワイ「今どきそもそも紙の本でリリースする必要ある?電子書籍でよくね?」派だったため一生コミケに出展することはなかろうと思っていたんですが、思いついてしまった企画がスプラトゥーン同人雑誌『HITEYE 9月号』でした。「リアルにスプラトゥーンの世界を感じる、ゲームの世界を現実に置き換えるアイデア」を実現するとなると絶対紙の本じゃなきゃ意味ないよね、ということで「紙で二次創作的な本を作る」→「(諸々の現実的な観点から)コミケ出展不可避」となりました。

コミケの準備

以前何度かコミケには脚を運び、さらに売り子を一度だけ経験したこともあって「こうやれば大丈夫だろう」というビジョンは見えていました。

(1)各種手続き

コミケに出展するにはまずサークル申込書セットを手に入れ、オンラインで応募(オンラインで応募するにしても申込書セットは必ず必要)。専用サイトから申し込み、そして入金。そして数ヶ月後のサークル配置決定まで本当にコミケに出展できるかはわからない(正直落ちるんだろうなーと思ってました) 。が、何と当選。マジか、ということで次のステップへ。

(2)本の作成

受かってしまったからには本を作らねば、ということで本の制作を開始。企画自体はすでに完成していたので、ここから色々な方にお声がけし…制作自体の話はこちらに書きました

(3)ブースの準備

敷き布の準備、B1ポスター及びポスタースタンド(コミケに特化された商品がここで買えます)、商品情報POP、お手伝いいただくスタッフの皆様へのお声がけ、現地での必要書類、準備会提出用の見本誌、お釣りの準備、お客さんの滴り落ちる汗対策にまた見本誌、もちろん水分補給・塩飴…いのちだいじに。

よかったこと

(1)本ができたこと

本当にできてよかった。ただただご協力いただいた皆様のおかげです。本当にありがとうございました。1冊の本を作れたという事実がまず何よりの成果でした。

(2)自分が思う理想を反映できたこと

そもそも何でこの本を作ったかという話ですが、自分の心の中に「何でみんなこういう企画をやらないんだろう」という気持ちがありました。もっと変で面白くて原作の世界をリスペクトした上でさらに新しい表現。それを誰かがやってくれれば私がやる必要はないんですが、いないなら自分がやるしか。PRINTGEEKの紙ラボ先生に相談した時も「思いついちゃったら、やらないと」という同人的真理の言葉をいただきました(ご本人注釈ツイート)。

また任天堂のキャラクターの多くがそうであるように、スプラトゥーンの世界のガール、そしてボーイは自信に誇りを強く持った存在として描かれています。元気で、生意気で、強い自信と自分らしさがある。二次創作になるとどうしてもかわいく、甘めの設定になってしまうことがあるように見受けられました(あくまで私からの見え方です!)。もちろん二次創作は自由の世界。かわいいガールやボーイも本当に最高ですが(Reblog、Likeむっちゃしてます!💪)ツンとした、生意気な彼らの息遣いを感じる作品がもう少しあってもいいように私は感じました。

表紙と特集の写真は主に灰色ハイジさんにモデルになっていただきましたが、私のディレクションがほぼない状態(怠慢)で、イカガールの雰囲気/心意気を表現していただけたことに、スプラトゥーンという作品の持つ力強さを再認識させられました。

ブースでは多くの女性の方に冊子を手にとっていただけたのが本当に嬉しかった。男性にも女性にも受け入れてもらえる同人誌を作ることができたのは大きな自信になりました。

反省/改善

(1)精神的余裕

なかった。全くなかった。正直に言いますが7月入る前に「これはできないんじゃないか、無理なんじゃないか」と怖くなってプロジェクト自体止めてしまおうと思ったこともあったりしたんですが、これだけの方に参加していただいているのにダメだろそれはと己を奮い立ててそこから1ヶ月、完成まで走り抜けました。この余裕のなさが当然いろんなところに響いてくるんですが、皆さんのおかげでクオリティの高いものが出来上がっていく過程に本当に勇気付けられました。

(2)締め切り

会場に直接搬入する場合は2週間前には出来上がってないとダメなんですが、本が届いたのは参加当日の2日前。そして部屋に段ボールが積まれる絶望感は異常!物量を前にノックダウン寸前でしたが、これが現場への直接搬入だったらだいぶ気持ちも軽かったかも。

(3)前日搬入

「前日搬入」という概念にまったく気が付きませんでした。書類は何度も読んだつもりだったんですがスポンと抜けていたんですね。で気がついたのはまさに前日で、時すでに遅し。結局冊子を含めた大量の荷物をタクシーで搬入。コミケ準備会的には「道路が混雑するので基本は公共交通機関で移動してね」とのことです。

(4)ブース

3日目の評論カテゴリに配置されたわけですが、スプラトゥーンの冊子であるという文脈をもっと伝えなければいけなかった。余裕がなくてそこまでの視点を持つことができなかったのはただただ反省です。それでも見本誌を読んでから「買います!」と言っていただける方が多くいらっしゃったことは幸福でした。

その他

(1)本は重い

昔本屋でバイトをしていたこともあるのでわかっていたつもりではありますが、本って重いです。薄い本、といえど120部(ダンボール1箱)ともなると下手すれば腰がやられてしまう重さです。少しのページ数の違いや紙一枚の厚さも、束になるととんでもない数字になるということがよくわかりました。『HITEYE 9月号』はA4サイズですが、判型を小さくしたり紙を変えたりすることでだいぶとりまわしは良くなるのだろうなと思います。個人で大量に扱う、という点も考慮していくべきなのでしょうね。

(2)お客さんの目が真剣で少し怖い

今までお客さん側としてしかコミケを見たことがなかったというのもあり、ブースに座って思い知らされたのはお客さんはみんな獲物を見つける目で品定めしているということ。本当に真剣そのもので私は「すみません…すみません…」という気持ちに。というか自分も同じような眼差しをしていた気がする…

(3)西館/東館の移動は大リスク

途中1度だけ西館に移動したのですが、往復で30分以上かかってしまいました。その間にブースにお越しいただいた方もいて大変申し訳有りませんでした🙇🙇🙇 出展する人はやはりあんまり移動したらいかんなと。

今後の話

以前の記事にも書いた通り「こういう企画が作れること知ってもらうこと、そして面白い企画が思いついたら実行してもらうこと」が私の最大の目標です。同人誌にはもっとデザインの力が必要だ!という声を周囲から聞きますが、なら企画だって、と思います。

そしてコミケは夏・冬と2回ありまして次回は4ヶ月後なんですが、この2ヶ月の辛さをもう一度というのはなかなか考えづらいです。が、C91の申込書は手元にあります。

さて、どうしましょうか。

HITEYE 9月号の通販が始まりました

BOOTHにてスプラトゥーン同人雑誌『HITEYE 9月号』の通販を開始しました!コミケに来ることができなかった方、ぜひご利用ください。

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福岡陽(akirafukuka) NTTコミュニケーションズ デザインスタジオ KOEL 所属 https://www.ntt.com/lp/koel/ ブランドストラテジストとして「善いブランドを創る」ためブランド/ストーリーテリング/デザインを扱う仕事をしています。